経験値がひくいのか、学習能力がひくいのか、要領がわるいのか、不注意なのか。
そのどれもなんだと思うのですが、
ひとつのことができるようになるまでかなり失敗を重ねてしまうタイプです。
3-4年ぐらいまえのことですが、日本人のかたから急須のオーダーをいただきました。
ティーポットや急須はそれまでもいくつもつくってきていたし、
ご希望の色も普段制作している色だったので大丈夫、と思ってよろこんでお受けしました。
ところが、ひとつの急須を納品するまでに1年(他の制作と並行しながら)、
30個以上つくることになってしまいました。
一番の原因は、スリップにクラックが入ってしまったこと。
初めて使ったスリップでもなく、これまでもよく使っているものだったのに何個も同じ現象が。
ひどい貫入(多少の貫入はいいとしても)も入ってしまったり、
他にも、取っ手が重すぎて本体が不安定だったり、
取っ手や注ぎ口のつなぎめにヒビがはいったり。
加飾や釉薬の問題だけではなく、急須の基本的な作りの部分でも見直しが必要でした。
スリップはこれまでそんなに問題がなかったので、最初は、いつも通りで大丈夫だろう、
ぐらいの認識しかなかったけれど、
ここにきて乾燥の速度、乾燥前、中、後のケアなどいろいろ試行錯誤することに。
貫入についてはテキサスのKさんにずいぶんと相談にのっていただき、
釉薬の掛け方に気を配ったり(まぁ、それまであんまり気にかけなさすぎてたというのもあるけど)、
おすすめしてもらった本に載っていたグレーズをつくって試したり。
そんなかんじで、結局、ひとつの急須をつくるのに ひとつひとつの工程を見直しをすることになりました。
これはガス窯焼成の作品で、この途中まではスタジオの窯で焼成していましたが、
スタジオだと他の作品の釉薬がついてしまったり自分でコントロールできない部分もあって、
自分のガス窯を持つことにしたのもこの制作がきっかけでした。
ご依頼してくださった方をずいぶんお待たせし、かなり申し訳ないことをしてしまったのですが、
そのおかげで、フタつきのものや、ティーポット・急須をつくるうえで、 ものすごくよい勉強になりました。
今となっては財産です。
ここまでしないとできあがらないなんてよほど要領が悪くもあるのだけど。
それまでは、つくればできる気でなんとなくいたけど、
成功率はというと、かなり不安定なものだったと思います。
そしてその後、
しばらくたってから仲の良い先生に、彼女の教室でデモンストレーションをしてほしいと依頼され、
偶然にもお題がティーポット。
不安なく引き受けることができ助かった、という思い出があります。
今年は大皿、大きい花びんと挌闘中。
いままではあまりトライしてこなかったサイズの作品を勉強中です。
実は昨日の素焼きはピキーッと派手なクラックが入ってしまいました。
たてにして焼いてみればよかったかな。もしくはやっぱり窯にたいして大きすぎたか、、、。
この時も書きましたが、ろくろでひけたら完成できそう、というわけではなくて
どちらかというとその後の工程や扱いかたが成功を左右するので、
回数をかさねて学習中です。
それにしても学習時間長すぎかも??まあペースはいろいろだよね。